〜はじめに〜
観光業界は、多くの人々にとって魅力的なキャリアの選択肢です。
旅行が好きな方やホスピタリティを大切にする方にとっては、この業界が夢の職場であることでしょう。
しかし、観光業界には多様な仕事が存在しており、その幅広さについて知ることは重要なことです。
例えば、空港やホテルでの接客業務がよく知られていますが、オフィスでの内勤業務も観光業界の一環です。旅行商品の企画や地域振興に携わる仕事など、さまざまな職種があります。
この記事では、観光業界での仕事の多様性と、それぞれの職種に求められるスキルについて詳しく説明します。また、おすすめの職種や成功するために重要なスキルについても解説します。自分にぴったりの観光業界の職種を見つける手助けになるでしょう!
観光業界の仕事の種類
観光業界には、さまざまな仕事があります。
以下に、主要な観光業界の仕事の種類を紹介します。
【観光系の仕事例】
観光業界は多様な仕事があります。以下では「観光系」と呼ばれる仕事をジャンルごとに紹介していきます。
1. 旅行会社系
旅行会社系の仕事には以下のようなものがあります。
⚫︎ ツアーコンダクター (添乗員)
仕事内容: 旅行ツアー参加者への案内やサポート(スケジュール管理)を担当やりがい:海外旅行などの長期ツアーでは、多くのお客様との関わりが深まります。後日、感謝の手紙やメールをもらえることもあり、やりがいを感じることでしょう。
就職するには: 旅行会社や添乗員派遣会社に就職し、添乗業務担当になればツアーコンダクターの仕事ができます。
必要な資格: 旅程管理主任者資格: ツアーコンダクターになるための資格で、入社後に取得できることが多いです。学生のうちに取得しておく必要はありません。
あるとよい資格: 旅行業務取扱管理者資格: 旅行業法や契約関係に関する国家資格で、ツアーコンダクターの仕事で役立つことがあります。観光地の地理や歴史に関する知識も必要です。
あるとよい資格: 観光英語検定: 観光分野に特化した英語力を測る試験で、海外添乗の際に役立ちます。
ツアーガイド
仕事内容・やりがい: ツアー参加者に観光地の案内をする仕事で、海外ツアーガイドの場合はその国の文化や習慣も案内します。バスツアーの場合はバスの駐車誘導なども行います。
あるとよい資格: 旅行地理検定、歴史能力検定: 地理と歴史に関する知識が必要です。
ツアープランナー
仕事内容・やりがい: 旅行商品の企画をする仕事で、大規模な旅行会社では商品企画の専門部署があります。中小規模の旅行会社では、ツアープランナーが自ら企画し、添乗も行うことがあります。
就職するには: 旅行会社に就職し、企画担当の部署に配属される必要があります。
カウンターセールス
仕事内容・やりがい: 旅行会社のカウンターで、来店客に旅行商品の紹介・販売、新幹線や飛行機のチケット発売などを行います。複雑な要望を受けることもありますが、実現できたときに感謝の言葉をもらえることもあり、やりがいを感じることでしょう。
ランドオペレーター (ツアーオペレーター)
仕事内容・やりがい: 旅行会社の依頼を受け、交通機関やホテル、レストランなどの手配・予約を専門に行う仕事です。海外の旅行会社からは日本の手配を、日本の旅行会社からは海外の手配を依頼されることがあります。観光地としてマイナーな場所の情報も網羅する必要があり、現地情報のエキスパートになることがやりがいです。
2. 空港・航空業界の接客系
空港や航空業界での接客の仕事には以下のようなものがあります。
キャビンアテンダント
仕事内容・やりがい: 客室乗務員、通称CAと呼ばれる仕事です。飲み物や機内食の提供が主な仕事ですが、最も大切なのは旅客の安全を守ることです。世界中の異なる国籍や文化の人々と出会えることがやりがいの源です。
就職するには: 航空会社の客室乗務職として採用されることが一般的です。基本的には専門学校・短大・大学卒以上の学歴が求められます。
あるとよい資格: TOEIC600点程度: 外国人の接客が多いため、英語力が役立ちます。応募時にTOEIC600点程度を条件としている会社もあります。
グランドスタッフ
仕事内容・やりがい: カウンターでの接客や搭乗ゲートでの案内業務が主な仕事です。世界中から飛行機を利用する人々と接するため、語学力を活かすチャンスが豊富です。
就職するには: 旅客ハンドリング業務を行っている会社に就職します。航空会社傘下の会社や、航空会社とは直接関係のない企業もあります。
あるとよい資格: TOEIC550点程度: 空港には多くの外国人が訪れるため、語学力(特に英語)が活かせます。一部の会社ではTOEIC550点前後が求められる場合もあります。
空港内でのサービス業務
仕事内容・やりがい:
空港のインフォメーションカウンターや他の関連エリアで、空港内の案内や身体の不自由な利用客のサポートを提供する仕事です。外国人との接触も多いため、語学力を活かす機会があります。
就職するには: 空港サービスを担当する専門の企業に就職します。
あるとよい資格: 語学系資格: 訪日客との接客が多いため、語学系の資格(特に英語・中国語)が活かせます。ただし、極端に高い語学力は必要ありませんが、基本的なコミュニケーション能力が求められます。
3. 交通機関系
交通機関関連の仕事には、空港・航空業界の接客系以外にも以下のような職種があります。
3-1.航空/鉄道会社の企画営業職
仕事内容・やりがい
旅行代理店と協力しながら、就航地や自社線沿線の観光資源を活用した旅行商品を企画し、プロモーションする仕事です。未知の観光地を発見し、新たな旅行体験を提供することにやりがいを感じます。
就職するには
企画営業系の部署に配属されるには、通常、大学卒業者として総合職として採用されることが一般的です。航空・鉄道会社の総合職は競争が激しいため、高い学歴やスキルが要求されます。
3-2.観光タクシー/ハイヤードライバー
仕事内容・やりがい
観光タクシーやハイヤーの運転手を担当します。乗客から観光ルートのアドバイスを求められたり、観光情報を提供したりすることがあり、観光に関する知識が不可欠です。訪日客の利用も多いため、語学力を活かすチャンスもあります。
必要な資格: 普通自動車運転免許
多くの場合、応募条件として普通自動車運転免許の取得期間が3年以上求められます。これは、タクシーの運転に必要な普通自動車二種運転免許の受験条件として設定されているからです。
あるとよい資格: 普通自動車二種運転免許
車にお客様を乗せて運転(営業運転)する場合に必要な免許です。入社前に取得することも可能ですが、多くの場合、入社後に受験料などが負担されずに取得できます。
4. ホテル系
ホテル業界における観光に関わる職種は以下の通りです。
4-1. フロントスタッフ
仕事内容・やりがい
ホテルのレセプション(フロント)で、チェックインやチェックアウトなどの接客業務や予約管理を行います。業務の多くは定型的なものですが、外国人客に対して語学力を活かす機会があります。
就職するには
ホテルに就職し、担当部署に配属されることが一般的です。アルバイトとしても応募できる場合があります。
あるとよい資格: ホテルビジネス実務検定
ホテルのサービスや経営に関する知識を評価する資格です。ホテル業務に関する知識を体系的に学び、仕事に役立てることができます。
4-2. コンシェルジュ
仕事内容・やりがい
宿泊客のリクエストに応じて、観光案内やレストランの予約、チケットの手配などを代行する仕事です。宿泊客のニーズを理解し、満足度を高めるためのサポートを提供します。外国人客からの要望も多いため、語学力を活かすチャンスがあります。
就職するには
ホテルに就職し、担当部署に配置されることでコンシェルジュとしての職務に従事できます。また、アルバイトとしても雇用されることがあります。
あるとよい資格: ホテルビジネス実務検定、語学系資格
前述のフロントスタッフと同様に、これらの資格が役立ちます。特に、ホテルビジネス実務検定はホテル業務に関する幅広い知識を身につけるために有用です。また、語学系資格も外国人客へのサービス提供において重要な役割を果たします。
5. 公的機関系
公的機関での観光関連の職種は以下の通りです。
5-1.日本国政府観光局(JNTO)職員
仕事内容・やりがい
海外で日本の観光PRを担当する機関で、海外向けの観光情報発信、市場分析、国際会議・イベントの誘致、訪日旅行の企画・販売促進などが主な仕事です。自国を代表して世界にアピールできることが魅力の一つです。
就職するには
日本政府観光局(JNTO)への就職は、大学や大学院卒業後に新卒採用で応募できます。一部の場合、外国の政府観光局での経験者を採用することもあります。
あるとよい資格: 語学系資格
国際的な業務を担当するため、特に高度な英語力が求められます。ビジネスレベル以上の語学スキルが必要です。
5-2.観光庁職員
仕事内容・やりがい
地方自治体や民間企業などと連携し、観光地の振興支援や観光PRなど、観光立国の推進に取り組みます。国の機関として観光業界全体をサポートすることがやりがいです。
就職するには
観光庁職員として働くには、まず国土交通省への入省が第一段階です。国家公務員試験を受験し、面接などを経て合格すると、国土交通省に入省できます。ただし、必ずしも観光庁に配属されるわけではありません。
必須試験: 国家公務員試験
国家公務員としての職に就くために必要な試験で、一般知識や専門知識の筆記試験と面接が含まれます。受験年齢に制限があり、30歳未満が一般的です。
5-3.地方自治体の観光課職員
仕事内容・やりがい
地方都市での観光振興や観光PRが主な職務です。観光施設の案内、地域イベントの企画運営なども担当します。地元に思い入れがある人にとって、地域への貢献や発展を感じることがやりがいとなります。
就職するには
希望する自治体の公務員採用試験に合格する必要があります。観光関連の職務に就けるかどうかは、入庁後の配置に依存します。
必須試験: 地方公務員試験
地方公務員としての職に就くための試験で、自治体ごとに実施されます。論文試験や面接が含まれ、一般的に30代前後の受験年齢制限があります。
6. その他のジャンル
これまでに紹介したもの以外にも、観光関連の職種は以下の通りです。
6-1. 全国通訳案内士
仕事内容・やりがい
訪日外国人に対して、外国語で日本旅行の案内を行う仕事です。一組の訪日客に時間をかけて案内できるため、臨機応変に要望に応えながら深いコミュニケーションができることが魅力です。全国通訳案内士は全国で仕事ができますが、特定地域のみで仕事ができる地域通訳案内士も存在します。
就職するには
通訳案内士試験に合格し、自治体に登録することで仕事を受けられるようになります。多くの通訳案内士はフリーランスとして働き、副業として活動することも一般的です。
必須資格: 通訳案内士試験
この試験は外国語、地理、歴史、一般常識、実務知識の筆記試験と、外国語口述試験で構成されており、合格率は近年で10%前後と高くありません。
給料の目安
通訳案内士は案件ごとに報酬を受け取りますので、収入は安定しません。1日数万円程度の単価が一般的です。
6-2. 旅行作家/ライター
仕事内容・やりがい
旅行雑誌やウェブメディアに掲載される旅行記事を執筆する仕事です。特に取材記事の場合は、自身で実地取材し、現地の文化や情報を読者に伝えます。読者からの反応や感想がやりがいの一因です。
就職するには
旅行雑誌の出版社などに就職し、編集者またはライターとしての経験を積むことが一般的なルートです。しかし、フリーランスライターとして独立することも可能で、自由なスケジュールや取材先の選択肢が広がります。
以下の4タイプ別におすすめの観光関連の仕事を紹介していきます。
1. 語学力を活かしたい人
2. 給料を重視する人
3. シフト制ではない働き方を望む人
4. 内勤の仕事を希望する人
2-1. 語学力を活かしたい人
観光関連の仕事全般で英語力は有用ですが、特に語学力を活かしたい場合は以下の職種がおすすめです。
- 日本政府観光局職員
- 全国通訳案内士
- 空港・航空業界の接客職
- ホテル関連職
- ランドオペレーター
一方で、以下の仕事では語学力を活かす機会が少ないかもしれません。
- 日本政府観光局以外の公的機関系職員(配属部署による)
- 旅行作家・ライター
2-2. 給料を重視する人
給料を重視する場合は以下の職種がおすすめです。
- 公的機関系職員
以下の職種はフリーランスとして働くケースが多いため、収入が安定しない場合があります。
- 全国通訳案内士
- 旅行作家・ライター
2-3. シフト制ではない働き方を希望する人
観光業界は生活が不規則になる仕事が多いです。以下の職種はシフト制で早朝・深夜の勤務もあるため、生活が不規則になりがちです。
- 空港・航空業界の接客職
- ホテル関連職
- ツアーコンダクター
シフト制ではない働き方を望む場合は、他の職種を選ぶと良いでしょう。
2-4. 内勤の仕事をしたい人
観光業といえば接客業務が主流と思われがちですが、内勤が好きな場合は以下の職種がおすすめです。
- ツアープランナー
- ランドオペレーター
- 航空・鉄道会社の営業企画職
- 公的機関系職員
3. 観光系の仕事に就くために磨いておくべき3つの力
観光関連の職業を志す際、学生時代に育てておくべき3つのスキルを紹介します。
1. 言語能力
2. 地理と歴史の知識
3. コミュニケーション力
3-1. 言語能力
観光業界では、ほとんどの仕事で言語スキルが求められます。訪日観光客の数は2018年に3000万人を突破し、外国語に堪能な人材は都市部だけでなく地方でも高く評価されています。特に、多くの企業が採用時に言語関連の資格を優遇しています。英語や中国語のほか、スペイン語やタイ語などの需要も増えています。
学生時代に言語力を向上させることは、就職試験や実務において大いに役立つでしょう。ただし、新型コロナウイルスの影響で需要が一時的に減少しましたが、将来的な回復が期待されています。
3-2. 地理と歴史の知識
観光業界での成功には地理に関する知識が欠かせませんが、歴史についての理解も同様に重要です。観光客は美しい景勝地だけでなく、歴史的な遺産や神社仏閣などの文化財を訪れることがあります。地理の知識だけでなく、歴史に関する知識があることで、観光業界での価値が向上します。
また、日本国内だけでなく、国際的な地理と歴史にも精通することで、観光資源の魅力をより深く理解できます。
3-3. コミュニケーション力
「人間力」は、コミュニケーションスキル、リーダーシップ、柔軟性、協力性など、社会生活において必要な幅広い能力を指します。観光業界では、人との関係性が特に重要視されるため、これらの要素が不可欠です。
お客様との円滑なコミュニケーション、問題解決、プロアクティブなアプローチを通じて、スムーズな業務遂行が可能です。観光に関する知識や言語スキルの向上だけでなく、個人としても成長し、幅広いスキルを磨くことが大切です。
〜さいごに〜
観光業界でのキャリアには幅広い選択肢があり、語学力、地理・歴史の知識、コミュニケーションスキルなどが必要です。
求められる資格を備え、魅力的な仕事に挑戦しましょう。観光業界は未知の冒険が待っています。
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